人質の法廷

法治国家の欺瞞を暴くリーガルサスペンス!
駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、突如、当番弁護の要請が入った。荒川河川敷で起こった女子中学生連続死体遺棄事件――遺体には証拠隠滅のため漂白剤がまかれ、冷酷な犯人像が推測された。容疑者には被害者の中学校に侵入し、逮捕された過去があったが、断じて犯行には関与していないと志鶴に訴える。警察による自白強要が疑われた。
志鶴が刑事司法を志した背景には、高校時代の友人のバイク事故死がある。自動車運転過失致死と処理されたが、彼女は冤罪を疑っている。そんな過去を持つ志鶴は、依頼人の潔白を晴らすため奔走する。
そこに立ちはだかるのは起訴有罪率が99・9%という現実だった。逮捕イコール犯人という世間の目。「人質司法」とも称される長時間勾留で有利に捜査を進めようとする警察・検察。共同弁護を務める先輩すら有罪前提の弁護方針を説き始めるなか、孤立無援の志鶴は依頼人を救い出すことはできるのか――?
構想・取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス。

若手女性弁護士が、無実の罪で捕まった容疑者の弁護に奮闘する。途中で真犯人の一人称の章が挟まれ、読者は真犯人を知りながら、容疑者を起訴する検察と弁護士のやり取りを見守ることになる。被害者の首の指跡が容疑者とは違うこと、漂白剤の種類が違うことなど、少しずつ検察の主張に反駁していく様子は応援したくなる。結末が思ったよりもすっきりする内容でよかった。とても分厚いが一気に読める。