ドイツは第二次世界大戦の敗北後、東西に分裂する。ソ連の影響下、社会主義国として四〇年にわたり存在したのが東ドイツである。東西統一後、東ドイツは、非人道的な独裁政治やシュタージといった秘密警察の監視など、負の側面ばかり強調されてきた。本書は、ベルリンの壁崩壊後に明らかになった史料から、楽観的で無責任な指導部、豊かさを求めて声を上げる民衆など、壁の向こうの実験国家の実態と全貌を描く。
東ドイツは、高度な資本主義社会だった社会が社会主義国家となった珍しい例。社会主義陣営の優等生と言われていた東ドイツだがその実態をほとんど知らない。これを読むと、その時々の情勢、特に西ドイツとの関係で、国内の締め付けの強度を変えていたことが分かる。そして、常に西側へ脱出する労働年齢の国民がいて社会の維持は大変だっただろうとも思う。
