私兵特攻-宇垣纒長官と最後の隊員たち

昭和20年8月15日夕刻、第五航空艦隊司令長官で沖縄特攻の責任者だった宇垣纒中将は終戦を知りながら、艦上爆撃機「彗星」11機を率いて大分海軍飛行場から出撃した。敗戦を知りつつ、宇垣長官はなぜ自らの特攻を決意したのか。11機を見送った人々、奇跡的な生還者たちの証言、回想をもとに明らかにされる《最後の特攻隊》の真相。〈解説〉野村進

昭和60年に書かれた本が中公で文庫化された。ここ最近読んだ中でも強烈に印象深い内容。戦争体験者がまだ多くいた当時だからこそ書けるもので、今ではもう無理だろう。元予科練の版画家である寺司健次郎が、大分から飛んでいった最後の特攻について追う様子を描いている。玉音放送直後に若い飛行機乗り達を道連れにした宇垣中将の責は重過ぎる。城山三郎の指揮官たちの特攻でも中津留大尉が書かれている。今の視点からすれば終戦後なのにと思うが、当時の感覚からすれば飛行機乗りは皆戦犯扱いとも言われ、今では想像できない感覚だったようだ。大分空港からは、8月16日の夜に一式陸攻3機が偵察に飛び立ち、そのうち2機が未帰還であることも最後に書かれている。
これを文庫化してくれた中公はすごい。