バルジ大作戦

1944年12月16日払暁、西部戦線アルデンヌ森林の静寂を破る砲声――ヒトラー自ら構想し、第三帝国の命運を賭した反攻作戦が開始された。ドイツ装甲部隊は奇襲に成功し、連合軍の戦線に巨大な突出部「バルジ」を形成する。これがさらに膨れあがれば、「バルジの戦い」はドイツ軍の勝利に終わる。
それをくじくには、要衝都市バストーニュを死守しなければならない。守備隊のアメリカ第101空挺師団は包囲されながらも徹底抗戦し、彼らを救うべくパットン将軍の大戦車軍団は北に猛進した。スターリングラードに匹敵する巨大な戦場において、両軍首脳部はいかなる意思決定を行い、戦況はどう変転したか?
ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストが1000人以上の関係者に取材し、血と炎で描かれた決戦絵図を再現する。
栄光か破滅か――ヒトラー最後の戦略攻勢を緻密に描いた本作を、多くの戦争ノンフィクションの著作・翻訳で知られる大木毅による監訳・解説により復刊。カラー戦況図や史料写真も収録した決定版。

小中学生のころに文庫で読んだ記憶があり、この分厚い本を読んでいてもところどころ覚えていた。攻勢前にドイツ軍が藁を敷いて音をたてないように大軍を集結させたり、米兵と独兵が互いに「出てこい」と叫んだり、クリスマスの夜にきよしこの夜をドイツ軍の捕虜も一緒に歌ったり、有名なバストーニュの降伏勧告だったり。今調べると、当時読んだのは角川の抄訳だったのだと思う。著者曰く、この攻勢があったからこそドイツの精鋭部隊が消耗し、戦争の終結が早まったのだとか。
西部戦線は、捕虜虐殺もあったもののまだ米兵と独兵のやり取りがされていて、お互いに降伏したりしている。東部戦線ではそんなことはなかっただろうし、レイテ戦記で書かれた太平洋戦線との違いも感じた。