軍旗はためく下に 増補新版

軍旗はためく下に-増補新版 (中公文庫)

軍旗はためく下に-増補新版 (中公文庫)

戦後20年余りが経った頃に書かれた小説。敵前逃亡や自傷行為、上官殺害など、陸軍刑法の罪に関連する短編が5つ収められている。戦闘中に捕虜になり、脱出してきたら死刑宣告を受けたり、処刑されたという記録だけが残っているために、戦後に遺族が恩給を受けられないなど、理不尽な話が続いている。当時はまだ社会の大部分が戦争体験を有していて、こういう話が実感を持って受け入れられたのではないか。